Wonderful DaysⅠ



「君は……」


「結城……結城魁です!」


ぽつりと呟いた彼に、自分の名を告げれば


「あぁ……知っているよ、結城魁君。君の事は、何でも……ね」


初対面な筈なのに、俺の事は何でも知っていると言うマリアの兄貴。

口角を上げて囁いたその顔には、怖いくらいの笑みを浮かべていた。


───何でも……?


何で、初対面のマリアの兄貴が、俺の事を知っているんだよ?

頭の中で疑問を抱いたけれど、次に発せられた言葉で納得した。


「君には明日会いに行くつもりだったんだが、手間が省けたよ」


……あぁ、そうか。

彼は、俺がマリアに婚約指輪を渡した事を知っていて、既に俺の身辺調査を終わらせていたのだ。

マリアにすら、名前を告げていないのに。

一体、どうやって調べたのか……

瞬間、ぞくりと悪寒が走る。