「君は……」
「結城……結城魁です!」
ぽつりと呟いた彼に、自分の名を告げれば
「あぁ……知っているよ、結城魁君。君の事は、何でも……ね」
初対面な筈なのに、俺の事は何でも知っていると言うマリアの兄貴。
口角を上げて囁いたその顔には、怖いくらいの笑みを浮かべていた。
───何でも……?
何で、初対面のマリアの兄貴が、俺の事を知っているんだよ?
頭の中で疑問を抱いたけれど、次に発せられた言葉で納得した。
「君には明日会いに行くつもりだったんだが、手間が省けたよ」
……あぁ、そうか。
彼は、俺がマリアに婚約指輪を渡した事を知っていて、既に俺の身辺調査を終わらせていたのだ。
マリアにすら、名前を告げていないのに。
一体、どうやって調べたのか……
瞬間、ぞくりと悪寒が走る。


