Wonderful DaysⅠ




─────4時間後─────


ぽつりと頬に触れた冷たい感触に視線を上げれば


「───雨……?」


いつの間にか闇色に染まった空からは雨が降り始めていた。

今日こそは来て欲しいと願いながら、今まで待っていたが……


「今日は、もう来ないか……」


一向に姿を見せない人物に、落胆の溜め息を吐く。

見上げたそこには、美しくライトアップされたウィンザーの本社が、降り出した雨に濡れて幻想的に浮かび上がっていて。

何で、この場にあの人が居ないんだという、苛立つ気持ちばかりが募っていく。


一度帰国してから、また直ぐにイギリスに来れるだろうか……?

明日の出国までに会えない事を想定して、作戦を練り直す。


時間は、既に夜の7時を過ぎていて。

これ以上、此処にいても姿を現さないだろうと諦めて立ち上がった時、ズボンのポケットに入れてあった携帯の着信音が辺りに鳴り響いた。