Wonderful DaysⅠ






「──────はぁ……今日も来なかったか……」


ロンドンの一等地に聳え立つ、ウィンザー・コーポレーション本社の横に備え付けられていたベンチに腰を下ろした俺は、深い溜め息を吐いた。


4日もあれば、一度くらいは本社に顔を出すんじゃないかと思っていたが……

俺の考えが、甘かった。

此処で待つこと、4日目……

あれから、マリアの兄貴は一度も姿を現していない。


「───くそっ! どうすれば、マリアの兄貴に会えるんだよ!?」


此処イギリスに滞在出来るのは、明日の午前中まで。

時間的にも余裕が無くなってきて、辺りが暗くなり始めると内心焦ってしまう。

まだ午後3時なのに、既に日が傾きかけているのは、12月のロンドンの日没が午後4時だから。


「───マリア……」


今にも雨が降り出してきそうな鉛色の空を見上げて、俺を真っ直ぐに見つめてきたエメラルドグリーンの瞳に思いを馳せる。

このまま、マークさんに会わずに帰国してしまったら、マリアとの婚約を確かなものにする事が出来なくなってしまう。




タイムリミットは、すぐそこまで迫っていた─────────