元々、簡単にアポが取れるとは思っていなかったが……
名前すら言わせてもらえなかったなんて、不甲斐無い。
「……………………」
着信拒否されている以上、この後、いくら電話を掛けても無駄だと悟った俺はアポを取る事を諦めた。
それでも、帰国する前には何としてでも、マークさんに会わなければならないから。
「………………行くか」
異国の地で姿が見えなくなれば心配するからと、出掛ける旨を書き残して、父さんの名刺入れから勝手に拝借してきたそれを握り締めた俺は、ハンガーに掛けてあった厚手のコートを乱暴に取ると、ホテルの部屋を後にする。
会社に行ったからといって、すんなり会えるとは思っていないが 、何もしないよりは会える確率は上がるだろう。
この時、俺に残されていた時間は、あと4日しかなかった。


