それにしても……
「何で、そんなに日本に帰りたいんだ?」
庭園を歩きながら話をしていた時に、ふと湧いた疑問。
兄貴も一緒にイギリスに居るのに、何でそこまでして日本に帰りたがっているのか不思議で仕方なかった。
俺の言葉に、一瞬、陰りを見せた彼女の瞳。
少し考えた後、躊躇いがちに開かれた口からは
「……私、嫌われているから……」
「は?」
意外な言葉で。
嫌われてるって……誰にだ?
「兄貴に嫌われてるのか?」
思わず聞いてしまった言葉に
「ううん。兄さん達は、私にとっても優しいよ」
静かに首を横に振る彼女。
「じゃあ……」
「……お婆様なの……」
「お婆様?」
俺の言葉に頷いた彼女は、悲しげに瞳を揺らすと夜空に浮かび上がる月を見上げた。


