ハニーブラウンが手に届きそうな位置まで迫ってきて足を止めた。
相変わらずドクドクとうるさい心臓は、彼女を目の前にしてその速度を増してくる。
そんな状態の俺を知る由も無い父さんが、隣に並んでジャケットのピークラベル(剣襟)を正し、彼女の背後から声を掛けると
「What happened?(どうかされましたか?)」
その声に、彼女と目の前の男がこっちに振り向いた。
“ドクン”
エメラルドグリーンの大きな瞳と視線が交わった瞬間、俺の心臓が一際大きな音を立てた。
「Can I help you with something?(何かお困りですか?)」
不安げに揺れる瞳が父さんの声に反応して、俺から父さんに視線を移した時……
「お前は、こっち。」
それを他に向けてほしくなくて、彼女の右手を引いてその場を離れた。


