Wonderful DaysⅠ



貴族の称号を持つ社長が簡単なスピーチを終えると、ステージの周りに集まってくる会社関係者達。

それが合図になったかのように始まった生バンドの演奏。

社長も談笑しながら演奏を聞いているみたいだった。



「飲み物を取ってくるが、何か飲むか?」


ステージに視線を向けていた父さんが、こっちを見て声を掛けてくる。

各テーブルには赤と白のワインが3本ずつ、そしてミネラル・ウォーターのビンが数本置かれていたが、このテーブルのワインは運転してきた人も多いのか余り気味で、ミネラル・ウォーターのビンは既に空だった。


「あ、俺も行く」


父さんに次いで立ち上がると、少し離れたドリンクバーのカウンターへと足を向ける。


ステージを横目に進んでカウンターへ行く途中ではパントマイムをやっていて、それを見ようと人垣ができていた。


その人垣を避けるように迂回すれば、不意に視界の端に映った人影にドキリとして足を止める。


「…あ……」


人混みの隙間から見えたその人影は、さっきまで目で追いかけていた純白のドレスに身を包んだ彼女の後姿だった。