マーク兄さんの少し手前で立ち止まってしまった私。

目の前まで歩いて来たマーク兄さんが、ぎゅっと私を抱きしめた。


「おかえり。帰りが遅いから、心配したよ」


マーク兄さんは、子供に話し掛けるように優しく話す。

それでもマーク兄さんが此処にいる事が信じられなくて、私の心臓はうるさいまま。


「ただいま。友達と買い物してたら遅くなっちゃったの……マーク兄さんこそ、何で日本にいるの?」


余程の用事がなければ、マーク兄さんが日本に来る事はないから……

焦りと不安が頭を過ぎる。


「マリアの学校は今日で終わりだろう? 向こうがクリスマス休暇になる前に、迎えに来たんだよ」


マーク兄さんの言葉に、今まで早鐘のように動いていた心臓が、鷲掴みされたようにギュッと縮まった。


「いつ……日本を出発するの?」


口からやっと出た言葉は、少し震えていた。


「もう、準備は終えている。着替えなくていいから車に乗りなさい。直ぐに出発するよ」


「え…今から……?」