Wonderful DaysⅠ



声を掛ける前に、スマホを耳に当てた綾ちゃん。


「…もしもし、私。ちょっと、聞きたい事があるんだけど」


話をきいているのも悪いと思って、近くのお店に視線を巡らせていれば


「え? 今? SOGOだけど……は? 別に来なくていいわよ! ちょっ、おいっ!」


珍しく、慌てる綾ちゃんの声が聞こえる。

真っ暗になったスマホの画面を、呆然と見つめる綾ちゃん。


「……あ、綾ちゃん?」


「え? あ……ごめん、大声出しちゃって」


「だ、大丈夫?」


様子のおかしい綾ちゃんに声を掛ければ


「全っ然、大丈夫じゃないわ!」


青褪めていく顔色。

辺りをきょろきょろと見渡して、落ち着かない綾ちゃんが心配になってきた。


「綾ちゃん?」


「マリア。取り敢えず、逃げるわよ!」


「え? 逃げる?」


……って、誰から?


「早く逃げないと、ヤツが来ちゃ……」


話の途中で不自然に途切れた言葉。

綾ちゃんを見れば、ある方向を見たまま目を見開いてフリーズしていた。

その視線の先を追っていけば……


「誰から逃げるって?」


そこには、仏頂面でこっちを見ている蓮さんと、面白そうに笑っている葵さんが立っていた。