「な、何でそう思うのかな…?」
「だって、マリアの周りにいて無口で顔が良い男って言ったら、結城くらいしか思いつかないんだもの」
「ハ…ハハハ……」
もう乾いた笑いしか出てこなかった。
確かに、私の好きな人の特徴を知っている綾ちゃんが、魁さんと知り合いだったなんて知ってしまったら……
私の好きな人なんて、簡単にわかってしまう。
「……図星ね」
「はい……」
疑問系ではなくなっている言葉に、素直に頷いた。
───あぁ…綾ちゃんに好きな人がバレちゃった……
バレてしまった恥ずかしさから俯いていたけれど
「…………」
何も言葉を発しない綾ちゃん。
───あれ?
あまりの反応の無さに、そろりと視線を上げていけば、無言で私を見ている綾ちゃんとバッチリと目が合ってしまった。
視界に映ったその顔は、と───っても楽しそうに妖艶な笑みを浮かべていて……
暖房の効いた暖かい部屋のはずなのに、なぜか背筋がゾクリと震えた。


