(side:慧)


「いやぁ~、良いモノが撮れたわ~!」


我ながら、ベストショットが撮れたと思う。


「相変わらず、お前は煩いな……」


上機嫌の俺を冷ややかな目で見てくるのは、王子様のような容姿をした俺の悪友。

人の家だというのに、まるで自分がこの家の主かのように一人掛けのソファーにどっかりと腰を掛けている。


「あのねぇ…いきなり人の家に押し掛けてきて、それはないんじゃないの?」


態度のデカイ王子様に文句を言えば


「妹の見舞いに来たのに、会わせないお前が悪い。早く、マリアに会わせろ!!」


要求ばかりしてくる。


「だ~か~ら~! マリアちゃんはインフルエンザだから、会わせられないって言ってるでしょうが!!」


「少しくらいなら、大丈夫だろ?」


さっきから何度も言っているのに、食い下がってくるアル君。

そんな事言われても……

只今、魁君とラブラブ真っ最中のマリアちゃんを、アル君に会わせるわけにはいかない。