◇
“ゆう君”
右手に感じる温もりに、安心感が広がる。
───ずっと、こうしていられたらいいのにな……
なのに……
額に触れた、ひんやりとした感触に意識が引き戻されていく。
このまま意識が戻ってしまったら、この温もりが離れていってしまいそうな感じがして……
「…ゆう…君」
必死に名前を呼んでいた。
「───マリア…?」
耳に届いた心地の良い低音は、ゆう君の声よりも大人びていて。
でも、聞き慣れたその声の主を確かめようと重い瞼を必死に持ち上げた。
ぼやける視界に映った人影。
「ゆう君?」
確かめるように呼んだ名前に、肩をピクリと揺らしたその人は
「───気づくの、おせぇよ……」
不貞腐れたような声で言いながら、蕩けるような笑顔を見せる魁さんだった───


