“シーモア家のお嬢様”
お婆様の口から出てきたその人は、私を階段から突き落としたあの先輩だった。
「あの……私、どんなご迷惑をお掛けしてしまったんでしょうか……」
今まで虐められる事はあっても、やり返した事も言葉で返した事もない。
仮にそんな事をしたら、もっと酷い目に合わされる事がわかりきっていたから。
なのに……
「まぁ、なんてこと! 貴女、自覚が無いの?!
貴女と他の生徒の関係がうまくいっていないから、ハウス内の秩序が乱れないようにと板挟みになって心を痛めていると言うのに」
耳を疑うような言葉が次から次へと、お婆様の口から出てくる。
「違いますっ!!」
イギリスに来てから出した事がないくらいの大声を出せば、ビックリして目を見開いているお婆様の姿が視界に映る。
『此処に居たかったら、ミシェル様には盾突かない事ですよ』
さっきの執事さんの忠告が頭をよぎったけど、身に覚えが無い事で咎められるのは嫌だった。


