───18時50分───
私に伝えた通り、18時50分ピッタリに聞こえた扉をノックする音に、ビクリと肩が揺れる。
「は、はいっ……」
返事をすると同時にゆっくりと開かれた扉の先には、朝と同じように燕尾服に身を包んだ執事さんの姿があった。
「───失礼致します。お時間になりましたので、お迎えにあがりました」
この屋敷で、唯一、私と会話を交わしてくれる人物は、お辞儀をすると銀縁のメガネの奥から涼しげな眼差しを私に向けてくる。
それ以上、何も言葉を発する事無く微動だにしないって事は……
───早く出て来いって事なんだよね……?
私の解釈が合っているのか不安はあったけれど、座っていた椅子から立ち上がって扉へ向かう。
扉を開けてくれていた執事さんに、お礼を言って横を通り過ぎた時……
ふと聞こえてきた声に振り向けば、ブルーの双眸が私を捕らえていた。
「あの……?」
意味がわからずに尋ねれば
「私に出来る忠告は致しましたよ」
そう言って、私の前を歩き始めてしまう執事さん。
お婆様と食事なんて言うから、何かあるんだろうとは思っていたけど……
執事さんの言葉を聞いたら、このまま何処かに逃げ出したくなった。


