「あと数日で夏休みに入りますし、その腕ではハウスに戻っても生活は困難だと判断致しましたので、スクールの方には既に連絡を入れておきました」
思わず、マジマジと執事さんの顔を凝視してしまった。
「…………」
「何か?」
「…いえ……」
あそこに戻らなくていいんだと思ったら、体の力がフッと抜けた気がした。
「では、参りましょう。失礼致します」
そう言ってベッド脇に置いてあった車椅子を持ってくると、私を軽々と持ち上げて車椅子に座らせてくれる。
「あ、ありがとうございます……」
お礼を言えば
「そのお体で歩くのは困難かと思いましたので」
私の言葉を気にする事無く動き出した執事さんに連れられて、久しぶりのお婆様のお屋敷に向かった。
長い夏休みの間だけは虐めから逃れられると思ったら、少しは心が軽くなる。
あとは、兄さん達が戻って来たらいつものように明るく振舞えばきっと大丈夫。
そう思っていたのに……


