なんとか顔面から落ちるのだけは阻止しようと手を伸ばしたけれど、想像以上の衝撃に息を吐く事が出来なかった。
「……くっ……」
全身を強打した体はいう事を聞いてくれなくて、ピクリとも動かせないまま視線だけを階段の上へと向ければ
「ふん。ミックスなんて半端者は、早く私の視界から消えて頂戴。同じ空気を吸うだけでも、吐き気がするわ!」
忌々しいものでも見るような視線を向けて、言葉を吐き捨てると、その場を立ち去って行った先輩。
それをボーっと見ていたら、段々と視界が暗くなってきて、そのまま意識を失った───
次に目が覚めた時には、病院のベッドの上だった。
体を起こそうと力を入れれば、体中に走る激痛に息が詰まる。
「───お目覚めですか?」
気配のなかった頭上から聞こえてきた声に肩がびくりと揺れて、視線だけを向ければ
「執事さん……」
お婆様の執事さんが、ベッド脇に立っていた。
何で此処に、執事さんが居るの?
「あれ? 私、どうして……」
「覚えていませんか? 貴女は、階段から足を踏み外されて気を失われていたのですよ。
たまたま通り掛った教師が医務室へ運び込んだのですが、骨折をしていて手の施しようがなく病院に運び込まれたのです」


