Wonderful DaysⅠ



イギリスでウィンザー家といえば名門貴族らしく、私もその良家のお嬢様に当て嵌まるらしい。

日本に住んでいた父は、自分がイギリスの貴族だと言った事も無かったし、極々、普通に暮らしていた。

世界中を飛び回っていた父が大きな会社の社長さんだという事は知っていたけれど、深く考えた事も無かったから、私には貴族と言う言葉すら馴染みが無く、いまいちピンとこなくて。

この御伽噺のような世界で暮らしていく事が、どれだけ大変なのか後々、思い知る。



お婆様の邸宅を出る前に渡されていた指定の制服も独特な物で。

女子は裾を引き摺るほどのロングスカートで、日本では考えられないくらいの長さ。


「これ、本当に制服なの?」


思わず鏡に向かって呟いてしまった。

日本を出て来た時は手ぶらだったはずなのに、スクールの前で停車した車のトランクから降ろされた荷物はキャリーバッグ5個分。


「…………」


これは一体、誰の荷物? と突っ込みたくなったけど、隣に並んだ執事さんが怖くて口を噤む。

まだ、20代前半だと思われる外見はシルバーブロンドの髪をオールバックにして、燕尾服を着た姿はとても洗練されている。


「───此処が、これから貴女が学ぶスクールです」


突然聞こえた日本語にビックリして、思わず執事さんを凝視してしまった。