Wonderful DaysⅠ



あいつでも、あんな顔するのか……ってくらい男の俺でも見惚れる程の笑顔を見せた魁。

それを呆然と見ていたのは、俺だけだったらしく


「ねぇ、響君? 俺の弟って、魁君だよね?」


隣の慧に視線を移せば、困惑気味の表情で訳のわからない質問をしてくる。


「は?」


だから、思わず眉間に縦皺が寄ってしまったのは仕方がない。


───何言ってんだ? コイツ……


「ねぇ、響君。魁君は、いつから『ゆう君』になっちゃったんだろう?」


本気で悩んでいる慧に


「俺が知るわけないだろ」


さっき返された言葉を、そのまま返す。

何がどうなってるのかは、わからないが……

その表情と会話から、魁=『ゆう君』というのは間違いない。


それよりも……


「おい、慧。行くぞ」


「え? 何処に?」


「取り敢えず、部屋の外」


「え? 何で?」


この空気を読めない慧を引き摺って、部屋の外へと出る。


「俺はまだ、馬に蹴られて死にたくない」


「えぇ~?! いいところだったのにぃ……」


口を尖らせて文句を言う慧を無視して歩き出した俺。

背後で扉が閉まる音と一緒に聞こえたシャッター音は聞かなかったことにしよう……