Wonderful DaysⅠ



カチャリと開いた扉に、俺と魁の視線が集まる。


「げっ……」


扉の隙間から覗いた顔に、思わず声が出てしまった。


「げっ…て何かな? 響君。折角、差し入れ持ってきたのにさぁ、酷くない?」


その手にトレーを乗せて、部屋に入って来たのは慧だった。

煌や魁と違って一人煩いコイツは、病人のいるこの部屋には歓迎できない来訪者で。

軽い足取りで、ティーポットに入った紅茶とお茶菓子をテーブルに乗せると


「ほれ。魁君も、そんな小難しい本なんて読んでないでさ~。ティータイムにしようよ、ティータイム!」


ソファーに座っていた魁に声を掛ける。


「慧……てめぇ、今まで何処に雲隠れしてやがった」


読んでいた分厚い本を閉じると、眉間を寄せて慧を睨みつける魁。


「やだなぁ…睨まないでよ、魁君。アハハ…」


「ふざけるなよ?」


今にも掴み掛かりそうな魁に


「病人がいるんだぞ。騒ぐなよ?」


牽制の声を掛ければ、舌打ちをして立ち上がりベッドへと足を向けた。


「慧…お前、いつから給仕係りになったんだよ?」


からかい混じりの俺の言葉に「たまには、いいだろ?」と、にやりと笑みを浮かべた慧は


「 …で、マリアちゃんの様子は?」


ベッドで寝ているマリアちゃんへと、心配そうに視線を向ける。


───何だ。やっぱり、差し入れは口実か。


本当は、慧もマリアちゃんの容態が気になって仕方が無いらしい。