───え……何で…?
皆の視線が私に向いていたけれど、私の視線は魁さんのお父様に釘付けになっていた。
初めて会った筈の魁さんのお父様には、見覚えがあって。
───あの人が、魁さんのお父様なの?
絶対に忘れる事の無い記憶。
だって、あの人は……
私を助けてくれた“ゆう君”と一緒にいた男の人。
『What happened?(どうかされましたか?)』
あの時の記憶の断片が、鮮明に蘇る。
今、“ゆう君”に会ってもわからないかもしれないけれど、イギリスのパーティーで会った時とまったく変わらない、目の前の男の人は絶対に間違えない。
あの人が、魁さんのお父様なら“ゆう君”は……
ドキンドキンと、煩く鳴り響く心臓の音。
急激に動き出した心臓に、体中の体温が一気に上がった気がした。
熱でボーっとする頭は、グルグルと回る思考でパンク寸前。
記憶のピースを繋ぎ合わせて一つの結論に至ったら、力が入らなくなった足がガクンと崩れていく。
凭れていた壁越しにズルズルとしゃがみ込む寸前で
「大丈夫か?」
後ろから伸びてきた腕に抱き止められた。


