「私達兄弟も常に居る訳でもありませんし、自宅でお会いする事はお断りしています。
次回からは、アポを取ってから会社の方へいらして下さい」
後姿しか見えないけれど、先生の隣に居る人は……
きっと、魁さんのもう一人のお兄さん。
そして、女の子は多分……
「結城さんとは、これからも公私共に懇意にさせて頂きたい。
娘の月も、息子さん達と交流を深めたいと思っておりますので…」
そう言いながら、小太りの男性が後ろに隠れていた女の子を前に押し出した。
先生と魁さんのお兄さんの間から、ちらりと見えた女の子は、やっぱり転校生の暁さんで。
お兄さん達の前に出て、にこりと微笑む笑顔を見てハッと気づく。
───私、此処に居たら拙いんじゃない?
魁さんの自宅に、こんな格好でいたら誤解されるんじゃ……
「暁さんの娘さんと、息子達の交流を深める? それならば、会社のパーティーで会う機会がありますよ」
「はっはっはっ。パーティーでお会いするのも大変良い事ですが……
私が申し上げているのは、もっとプライベートな交流を深めたいと思っておりまして……」
なんだか込み入った話をしている暁さんのお父様と魁さんのお父様。
益々、此処に居たら拙そうな雰囲気に、来た道を戻ろうと一歩後ろに下がれば……
不意にこっちを見た暁さんの瞳が、大きく見開かれた。


