Wonderful DaysⅠ




「・・・はぁ」


溜め息を一つ零し、走るのを止めてトボトボと歩く。

正門前に立っていた風紀委員に生徒手帳を出すと、名簿に学年、クラス、名前を記入される。


「周防さん、一週間のトイレ掃除頑張ってくださいね」


私に負けず劣らず地味な雰囲気を醸し出している女生徒は同じクラスの長瀬さん。

にこりと笑って差し出された生徒手帳を苦笑いで受け取ると、憂鬱な気分で教室に向かった。


2年3組の教室に入ると


「おはよう、マリア」


すぐに声を掛けられた。


「おはよう、綾ちゃん」


声の主に返事をして自分の席に着く。

土屋綾ちゃんは転校して来て初めて出来た友達。

初めてと言うか友達と呼べるのは彼女しかいないのだけれど・・・