───誰?


重い頭をゆるゆると動かして、不機嫌な声の主に視線を向けると、そこに立っていたのは……


「…ったく……うつるから近づくなって言ってるのに」


「…………」


「無視かよ……」


白衣を着た、超イケメンさんだった。


───この人が、お医者さん?


魁さんに文句を言っている、超イケメン先生をボーッと見ていれば


「ん?」


私の視線に気づいたのか、先生も視線を下げてくる。


「魁に文句言ってる場合じゃなかったな……。先ずは、君の診察をさせてもらうよ?」


優しく微笑んだ先生は、体温計で熱を測っている間に服の襟元から聴診器を滑り込ませてくる。


───先生が居るって事は、やっぱり病院なのかな……?


そんな事を考えながら、大人しく診察を受けていれば


「おい、魁。 無言で睨むの止めろ」


聴診器をするりと抜いた先生が、魁さんを見て文句を言う。


「……変なところ、触ってねぇだろうな」


「あのなぁ……俺、医者なんだけど?」