「……待たせ過ぎたか……」


「あらら、マリアちゃん寝ちゃったね……」


遠くで聞こえたガチャリという音と共に、冷ややかな空気が足元に流れ込んできて寒い。


お尻に触れているシートが僅かに沈んだ感覚に、もぞもぞと暖を取るように体を丸めて温もりを探す。


「寒いんじゃない?」


「…………」


僅かに空気が動いて、そっと何かが体を覆った。

ふわりと鼻を擽る香りに、思わず擦り寄る。


「猫みたいだね、マリアちゃん」


「──…あぁ……」


───いい匂い……


きゅっと、何かに包まれた体はポカポカと温かくなって。


「おやすみ、マリア……」


心地良い温もりと鼓膜を震わせる囁きに、私の意識は再びゆっくりと深い眠りの海へと沈んでいった……