「結城さん!」
魁さんの声にハッとしたスキンヘッドが顔を上げると、田中さんを掴んでいた手を離して「すみません」と頭を下げる。
胸倉を掴まれていた田中さんも、魁さんの姿を確認すると「…あ」と小さい声を出してスキンヘッドと同じように慌てて頭を下げた。
「──重盛……車には誰も近付けるなと言っただろうが」
イラついた声でスキンヘッドもとい、重盛さんを睨み付ける魁さん。
「すみません。田中が飲み物を運んだまま、動かなくなっちまいまして……」
「あ? 飲み物?」
重盛さんの言葉に眉間を寄せる魁さんは、視線を田中さんに移すと目を細めた。
「あ…はい。体が冷えていると思ったので温かい物を…」
言いながら、ちらりと私を見る田中さん。
それに気付いた魁さんが、その視線を遮るように体を移動すると、私の視界には魁さんの後姿だけが映り込む。


