こっち(日本)で、その名前を呼ばれたのは初めてで。
──…何で?
何で、私の名前を知っているの?!
田中さんの声が耳に届いた瞬間、頭が真っ白になった。
だって、この格好で田中さんに会うのは初めてな筈。
「…俺っ…!!」
まだ、何かを言おうとしている彼に
「おい、田中!!」
瞬間、スキンヘッドの怒号が飛んでくる。
それと同時に、車についていた手が剥がされて、胸倉を掴まれていた田中さん。
今まで窓を覆っていた彼の姿が右端に移動して、急に開けた視界に映ったのは、相変わらずバイクと人の集団で埋め尽くされそうな道路。
今にもスキンヘッドに殴られそうな田中さんを、呆然と見ていた私は
「──…何をしている…」
耳に届いた唸るような低い声に、意識が戻る。
静まり返った空間に響き渡ったその声に、反応したのは私だけではなかった。


