Wonderful DaysⅠ



何とか伝えようと考えてみるけれど、日本語を喋っちゃいけない以上、全く思い浮かばない。

田中さんの様子を伺えば、目を見開いて固まっているという表現が一番正しいような気がする。

無言で私を凝視している彼の視線に耐えられなくなってきた頃……


「──…おい、田中」


田中さんの隣から落ちてきた低い声に、彼の肩がビクリと震える。

聞き慣れない声に視線を向ければ、田中さんの隣に立っていたのは、さっきドアを開けてくれたスキンヘッドの厳つい男の人だった。


「用が済んだら、とっとと離れろ。結城さんから、車には誰も近づけるなと言われている」


本職さながらの威圧感に田中さんだけじゃなく、私まで緊張してしまう。


「…あのっ…!」


男の人の声を聞きながらも、それを無視して私に声を掛けてくる田中さんは、窓を塞ぐように両手をつくと


「…マリア・ウィンザーさんですよね?!」


小さな声で私の名前を呼んだ…───