「──…葵…」
蓮さんの言葉を遮った魁さんが呼べば、直ぐに視線を向ける葵さん。
それを合図にゆっくりと歩み寄って行く魁さんは
「──マリア…少し待ってろ…」
優しい眼差しで、私の頭をポンポンしながら通り過ぎて行く。
───魁さんに、頭ポンポンされちゃった……
離れていってしまった手の温もりを感じていたくて、触れられた場所に手を当ててみる。
頬を打つ風の凍てつく寒さに、ぶるりと体が震えたけれど……
心だけは、ほんわかと温かく感じた。
何だか今日の魁さんは、綿菓子のように甘い雰囲気を醸し出していて、恋人になったような錯覚を起こしそうになる。
婚約者の暁さんには、いつもこんな感じなのだろうか……
二人の仲睦まじい姿を想像したら、胸がズキンと痛んだ。
「──…はぁ…」
針で刺されたような胸の痛みに、現実へと引き戻されて溜め息が零れる。


