Wonderful DaysⅠ



「──…葵…」


蓮さんの言葉を遮った魁さんが呼べば、直ぐに視線を向ける葵さん。

それを合図にゆっくりと歩み寄って行く魁さんは


「──マリア…少し待ってろ…」


優しい眼差しで、私の頭をポンポンしながら通り過ぎて行く。


───魁さんに、頭ポンポンされちゃった……


離れていってしまった手の温もりを感じていたくて、触れられた場所に手を当ててみる。

頬を打つ風の凍てつく寒さに、ぶるりと体が震えたけれど……

心だけは、ほんわかと温かく感じた。


何だか今日の魁さんは、綿菓子のように甘い雰囲気を醸し出していて、恋人になったような錯覚を起こしそうになる。


婚約者の暁さんには、いつもこんな感じなのだろうか……


二人の仲睦まじい姿を想像したら、胸がズキンと痛んだ。


「──…はぁ…」


針で刺されたような胸の痛みに、現実へと引き戻されて溜め息が零れる。