でも、その事なら……


「魁さんのせいじゃないです。それに、私は狙われないと思いますよ?」


私の言葉に顔を顰めた魁さんは


「何で……」


「白石が撮ったのって今の私ですよね? でも、私、普段この格好しないですもん。
だから、魁さんが心配するような事にはなりませんよ?」


魁さんを安心させるように明るく言えば


「──…お前…」


「あの至近距離で見て、白石も気付かなかったくらいですから大丈夫です!」


あれだけ普段の私の事を、けちょんけちょんに貶してくれた白石が、メイクした私を見て「すげぇ、イイ女」とベタ褒めしたんだから大丈夫と言う変な自信があった。


「でも、安心は出来ない…」


ポツリと呟いた魁さんは、スマホを取り出して操作をし始める。

その魁さんを見ていれば、私の後ろから照らされたライトの光に目を細めた。

さっきから聞こえていたバイクの音が近付いて来ても、魁さんは全く動こうとしない……