Wonderful DaysⅠ



妄想の世界にどっぷりと浸りそうになった時、私の意識を現実に引き戻したのは、握られていた魁さんの手に少しの力が込められたから。


ぴくりと動いた手に気付いて視線を上げていけば、眉間を寄せて前方に鋭い眼光を走らせる魁さん。


何かあるのかと視線の先を辿ってみるけれど、特に警戒するような人も物も全く見当たらない。


「…………?」


首を傾げてもう一度、魁さんに視線を戻せば……

益々鋭くなる眼光を、遥か前方に向けたまま舌打ちをする。


「魁さん」と声を掛けようと口を開きかけた時、微かに聞こえてきた音には聞き覚えがあった。


───この音って……


やっぱり…と思った時には、遥か先の交差点を曲がって来た数台のバイク。


その音から、明らかに普通のバイクじゃないのがわかる。


「──…族だな」


足を止める事無く呟いた魁さんは歩く速度を速め、バイクと擦れ違う前に左に進路を変えた。