手を引かれるまま窪みから出れば、頬を撫でていく冷たい風に身震いしてしまう。
階段を駆け下りた時の恐怖で周囲を全く見ていなかったけれど、いつの間にか外に出ていたらしく魁さんから離れた今は物凄く寒く感じる。
周囲を見渡しても、ヴィクトルさんの姿はどこにも無く、視界に広がるのはキラキラとしたイルミネーションの中を慌しく行き交う人達。
もう一度、魁さんに視線を戻せば、さっきまでのピリピリしたオーラも消えているように見えた。
あの二人から逃げ切っちゃったけど、一応言っておいた方がいいよね?
「あの…、魁さん。私達が逃げていた、さっきの男の人達なんですけど……
あの人達は怪しい人じゃないんです!」
今度こそ、ちゃんと伝えようと少し早口で話せば
「──…知ってる」
意外な返事が返ってきた。
───えっ、知ってるの?
なら、逃げなくても良かったんじゃ……
「じゃあ、何で逃げたんですか?」
疑問を口にすれば、魁さんは複雑な表情を見せて
「あいつらに捕まったら、慧の居るホテルに連れ戻されるだろ」
「はい?」
何故か慧さんの名前を口にする。


