そんな、様子がおかしい魁さんに反応するように、私の心臓も有り得ないくらいに鳴り響いている。
───もう、心臓が口から飛び出しそう……
間近に見える恐ろしいほどの美貌に、ドクドクと流れる血液まで沸騰するかと思った時、魁さんの胸ポケットでマナーモードになっていたスマホが震えだした。
「うわっ!」
突然震え出したそれに驚きの声を上げてしまって、急いで手で口を押さえる。
魁さんの仕草に反応していた心臓の鼓動は、スマホの震えにビックリした別の意味のドキドキに変わった。
私の唇に触れていた手でスマホを取り出すと、慣れた手つきで操作をして画面に視線を走らせた魁さんは
「───…チッ、クソ兄貴……」
舌打ちと不機嫌な声を発すると、スマホをロックして胸ポケットに突っ込んだ。
どうやら、お兄さんから届いたメッセージで不機嫌になってしまったらしい魁さんは、小さく溜め息を吐くと私から距離をとる。
覆い被さるように立っていた魁さんは、狭い窪みから出ると
「もう、大丈夫だから出て来ていいぞ」
そう言って私の手を引いた。


