で、問題は……
魁さんがヴィクトルさんを睨んでいるのは間違い無くて。
もしかしなくても、私達が必死に逃げていたのは、あの二人から。
怪しい黒服の人に追い掛けられたら、魁さんじゃなくても警戒して当たり前だよね…
───暴走族じゃなかったんだ
それならば、必死に逃げる必要も無いから
「魁さん」
“逃げなくても大丈夫”と伝えようとして名前を呼んだんだけど、魁さんは足を止める事無く階段を下り始めてしまう。
「マリア。舌を噛むから喋るなよ?」
もう一度、口を開こうとしたら魁さんに注意されて、抱きかかえられたままの私は思わず口を押さえた。
視界からヴィクトルさんが消える瞬間、何かを叫んでいたように見えたけど、混雑したホームでその声が耳に届く事は無かった。


