Wonderful DaysⅠ



で、問題は……

魁さんがヴィクトルさんを睨んでいるのは間違い無くて。

もしかしなくても、私達が必死に逃げていたのは、あの二人から。


怪しい黒服の人に追い掛けられたら、魁さんじゃなくても警戒して当たり前だよね…


───暴走族じゃなかったんだ


それならば、必死に逃げる必要も無いから


「魁さん」


“逃げなくても大丈夫”と伝えようとして名前を呼んだんだけど、魁さんは足を止める事無く階段を下り始めてしまう。


「マリア。舌を噛むから喋るなよ?」


もう一度、口を開こうとしたら魁さんに注意されて、抱きかかえられたままの私は思わず口を押さえた。

視界からヴィクトルさんが消える瞬間、何かを叫んでいたように見えたけど、混雑したホームでその声が耳に届く事は無かった。