こんな時に、思うのもなんだけど……
───やっぱり、かっこいいよ…魁さん
脳内でハートマークが飛びまくっている私を余所に、長い階段を一気に上り詰めた魁さんは、直ぐ横のホームで出発直前の電車に滑り込む。
その場で止まると思っていた足は止まる事無く人混みを掻き分けて、隣の車両へと移って行く。
───もう、下ろしてくれてもいいのに……
直ぐに下ろしてもらえると思っていたのに、電車に乗っても抱きかかえられているままの私。
周りから見れば、かなり変だと思う。
こんな時、ドラマとか恋愛小説なんかではヒロインが好きな人に「お姫様抱っこ」されるんだろうけれど、私はきっと荷物ぐらしにしか思われていない。
そんな私を抱えている魁さんは、とうとう最後尾の車両まで辿り着いてしまって、やっと足を止めた。
───此処で下ろしてくれるのかな?
そう思って大人しくしていれば、隣の車両が何だか騒がしい。


