───あ~、怒ってるなぁ……
予想通りの態度に、思わず苦笑いを零す。
ラウンジ全体を見渡せるその場所で、一人ソファーに腰を掛けて俺を睨みつけているのは我が弟の魁君。
───最早、兄に対して向ける視線じゃないよね?
っていうか……
魁君の醸し出している殺気のせいで、誰も君の周りに近付いて行かない事に気付いてる?
あんな状態で、ずっと此処に居たんだろうなぁ……
2時間近くも。
他のお客さんも、落ち着かなかっただろうなぁ……なんて思っていれば、俺の傍にマリアちゃんの姿が見えないからか、辺りを確認してソファーを立ち上がった魁君が一歩一歩近付いて来た。
「やぁ、魁君!」
俺も階段を下りながら、取り敢えず明るく声を掛けてみる。


