Wonderful DaysⅠ



トイレを出て道なりに進んで行くと、ロビーラウンジへ続く階段が見えた。

そのまま歩いて行けば、目の前にはさっきの女性達が階段の上から興味深げに下を覗き込んでいる。


もしかして、さっき言っていた「芸能人よりいい顔している人」を見ているのかもしれない。

私も気になって女性達の隣まで進んで、そこからラウンジを覗き込んでみた。

すると、確かに言い合いしているように見える男の人が二人。

てっきり、言い合いしているのはアル兄さんと慧さんだと思っていたのに。


だけど、そこに居たのは……


顔を引き攣らせて慌てふためく慧さんを、凄い眼力で睨みつけている頗る機嫌の悪そうな魁さんだった。


「え……魁さん…?」


思わず口から出た声は小さく、誰も気付いていないみたいで。


───何で、此処に魁さんが居るの?


何で此処に居るのかわからないけれど……

魁さんの姿を見た途端に、どくりと跳ね上がった鼓動が煩い。