蓮と二人で顔を見合わせて、結城の様子を見ていたけど……

段々とヒートアップしていく会話に沈黙するしかなかった。


「どういう事だ、慧(けい)」


慧と呼ばれた相手と会話をしている結城の顔は最早、ポーカーフェイスとは言えないほどに怒りを露にしていて。


「結城がこんなに感情を表に出すなんて、初めてなんじゃない?」


思わず、隣の蓮に話し掛けると


「あぁ、珍しいな……」


蓮も驚いていた。


「おい、ちょっと待てっ!!!」


慌てた様子で怒鳴った結城は、相手に切られてしまったであろうスマホの画面を見て手に力を込めていた。

握られたスマホがメキメキと音を立てて今にも壊れそうだ。


「───くそっ!」


「おい、魁。慧って……」


会話を終えた結城に話し掛けた蓮は、どうやら電話の相手を知っているらしい。


「あぁ、俺の兄貴だ」