何を考えているのか全く読めないその表情は、眉間に皺を寄せたままで、こっちが緊張してしまう。
「……誰だ」
結城から発せられた言葉に絶句。
中学の時は結構、蓮の傍にいたから見覚えくらいはあると思ってたんだけど。
「蓮の幼馴染で、マリアの友達よ」
私の存在など全く記憶にないらしい結城だったけど、私の口から出た“マリア”の名前にぴくりと反応を示す。
「あの女が迷子になっていた時に、魁が助けたんだよ」
私の質問に答えたのは、隣にいた蓮で
「迷子ね……」
その単語に、妙に納得してしまったけど……
───結城がマリアを助けたっ!?
人助けとは無縁そうな結城が、マリアを助けたと言う事実に、思いっ切り驚いた。


