私の周りでバイクを運転する人なんて蓮くらい。
その蓮の周りは族だらけで、メットを被っている顔見知りを見た事も無いし。
「お前、こんな所に来るなんてどうしたんだよ!?」
私が考えている間にも、馴れ馴れしくバイクの人に話し掛ける蓮。
それに反応を見せたその人は、被っていたメットに手を掛けて……
ゆっくりとメットを脱いだ人物に、視線が釘付けになった。
───う、嘘っ!!
「……結城?」
有り得ない人物の出現に、思わず口に手を当てて名前を呼んでいた。
蓮と同様、結城と御堂も同じ中学に通っていた同級生だったけど、結城とは会話をした記憶が無い。
高校に入ってからは姿すら見る事も無くなって、周りの噂を耳にするだけだった結城が何故こんな所に……


