Wonderful DaysⅠ




目を凝らして見ていれば、一本道の道路の先に姿を現した一台のバイク。

まだ遠過ぎて、運転手はおろかバイクの色さえわからない。


───誰?


段々と近付いて来るバイクは、傍から見ていても物凄いスピードを出しているのがわかる。

蓮の表情を見れば困惑気味で、金色の瞳にその姿を捉えたまま微動だにしない。


そんな蓮から視線を移せば、あっと言う間に大きくなったバイクを見ても、私には誰だか見当もつかなくて。

私達の目の前で、ブレーキ音を立てて止まった黒光りしているボディ。

乗っている人は黒のフルフェイスのメットを被っていて、顔も見えない。


「蓮の知り合い……?」


蓮だけに聞こえるように言うと、バイクに向けていた視線を初めて私に向けた。


「何言ってんだ。お前も知ってる奴だろーが」


「は?」


私の周りで、フルフェイスのメットを被ってバイクを運転している人なんていないけど?