Wonderful DaysⅠ



「お前まで、あの女と知り合いなのかよ……」


蓮の口から出た“あの女”って、マリアの事言ってるの?


「あんた、何処でマリアと知り合いになったのよ!?」


あの、地味を地で行くマリアと、暴走族の特攻隊長なんてやっている蓮に接点があるとはとても思えない。

問い詰めようと、蓮に一歩近付いた時。


───ヴォン……


遥か遠くの方で、走っているバイクの音が耳に届いた。


そのバイクの音にピクリと反応したのは、私ではなくて目の前にいる蓮で。

私には、ごく普通のバイクと変わらなく聞こえる音は、彼には違って聞こえるらしい。


「ちょっと、蓮っ!! 聞いてるの!?」


私が詰め寄っているのに、それを無視して蓮の視線は道路の彼方に向いている。

つられて蓮の視線の先を追っていくけど、私の目には道路と街路樹しか映らないのに


「アイツ、何で此処に……」


独り言のように呟いている蓮の言葉からは、バイクの音だけで乗っている人が誰だかわかったらしい。