Wonderful DaysⅠ



5分後って……


───私に部活のミーティングを休めって言うの?


ジッと見ていたスマホの画面は、既に真っ黒になっていて。

そんな事を考えている間にも時間は刻々と過ぎて行くから、ゆっくりなんてしていられない。

下校時刻のピークは過ぎているけど、あの男が正門前にいつまでもいたら生徒が騒ぎ始めるに決まってる。


変な注目は浴びたくないから、机の上に置いてあった荷物を持って、急いで教室を後にした。


「この学校、広過ぎるのよ」


一人、ブツブツと文句を言いながら廊下を歩いていれば、前から顧問の先生が歩いて来るのが見えた。


「篠原先生」


「お~、土屋。どうした?」


「今日のミーティングなんですけど、急用で出れなくなったので欠席します」


「お~、了~解」


擦れ違いざまに声を掛けて、欠席の了解を得る。

時計を見れば約束の時間まで、あと1分しかない。

校舎を出て、ダッシュで正門に向かうと聞こえてきたバイクの音。