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(side:綾)
マリアに手を振りながら、画面に触れてスマホを耳に当てれば
『俺だ』
報告を待っていた男からの電話で。
「……遅い。」
『あ゛?』
余りにも遅い連絡にイラついた声が口から零れるけど、それを聞いた男も相変わらず不機嫌な声で答える。
「時間、掛かり過ぎ。」
『……チッ』
耳に聞こえた舌打ちが気になるけど、今はそれどころじゃないからスルー。
「で?」
『今、長電話出来ねぇ。あと、5分でお前の学校に着くから正門前まで出て来い』
「は? ちょ……」
言いたい事だけ言って、ぶった切られた。


