そんな綾ちゃんにも臆する事無く、にっこりと笑顔を見せた暁さんは


「少し…マリアちゃんと話がしたかっただけよ」


そう言って、私に視線を合わせると「じゃあ、またね」とウィンクをして去って行った。


───本当に、何の話だったんだろう……


「マリア、大丈夫? あの女に何もされてない?」


暁さんが去って行った屋上の入り口を見ていると、綾ちゃんの心配する声が聞こえた。


「やだな、綾ちゃんってば。
何もされるはずないじゃない。あの女って……」


振り向いて、綾ちゃんを見れば


「ふん。あの女で十分よ。」


何で今日来た転校生を、そこまで敵視するのかかわからないけど……

どうやら、綾ちゃんは暁さんが嫌いらしい。


「何もされてないなら、いいの。」


私の顔を見てホッとした綾ちゃんに


「私達も教室に戻ろう? もうすぐ、授業始まっちゃうよ?」


視線を合わせて同意を求める。

それに頷いて歩き出した綾ちゃんと、並ぶように教室に向かった。