Wonderful DaysⅠ



「はぁ!?」


固まって動けないでいる私の前で、荒井さんに向かって思いっ切りしかめっ面をした綾ちゃん。


「何よ。信じてないの?」


その反応を見た荒井さんは口を尖らせるけど、それをスルーして


「信じるわけないでしょ?暁さんが結城の婚約者だなんて、誰が言い出したのよ?」


噂の出所を探る綾ちゃん。


「それがね……暁さん、正門の前まで車で来たんだけど、その車に結城さんも乗ってたんだって。
で、真相を確かめる為に本人に直接聞いたら、『結城と婚約しているから』ってサラッと言ったのよ!」


悔しそうに言う荒井さんを横目で見ていた綾ちゃんは


「変ね……婚約者がいる事は知ってるけど、結城の婚約者って、確か……」


ブツブツと独り言を呟くと、何故かスマホを取り出して席を立ってしまう。

どうやら、何処かに電話をかけているみたいで、スマホを耳に当てていた。

その場に一人取り残された私に、食堂を出る直前、視線を向けた綾ちゃんだったけれど、私はそれに気づかなかった……