「だ、大丈夫です!」
「そうか……」
そう言ったまま、無言で私を見下ろしている魁さん。
───な、何だろう……?
いつもなら、直ぐに行ってしまうはずなのに、今日はいつまで経っても動く気配も無く、私から視線を外さない。
───私、何かしたんだろうか……
何か言われるんじゃないかと緊張で心臓が痛いんですけど……
魁さんからの視線に耐えられなくて、自分の視線を下げた。
そんな中、魁さんの口からポツリと零れた言葉。
「───目」
「え? 目?」
思わず聞き返してしまった。
「コンタクトしなかったんだな……」
「時間が無かったのもあるんですけど、目が少し痛かったので今日はやめました」
下げていた視線を、魁さんに戻せば
「そうか」
そこには珍しく……いや、初めて王子様のような笑顔で微笑んでいる魁さんが映っていて、ドクリと跳ねた心臓に、さっきとは違う痛みが走った───


