「───…い。おい、起きろ」


誰かが遠くで呼んでいる……


───誰?


「おい、マリア。起きろ」


重く閉じた瞼は今日も言う事を聞いてくれない。


「魁。そんな起こし方じゃ起きねぇよ。退け!」


再び睡魔に襲われて、呼ばれる声も聞こえなくなった私は素直に深い眠りにつこうとしたのに……


「おい! 起きろクソ女。」


不快な声に再び呼び覚まされる。


───もう! 何なの? この目覚まし時計、ほんとにムカつくっ!!


「本当に目覚めないね、マリアちゃん……」


「…………」


「おいっ! 起きろつってんだろうがっ! このクソ女っっ!!!」


胸倉を掴まれる感覚に、もう頭にきたっ!


「誰がクソ女なのよっ!! 目覚まし時計の癖に煩いっ!!!」


起こされる度に気分最悪の目覚まし時計を、壊す勢いでぶん投げた。


「ぐあっ!!」


───あれ? 目覚まし時計が壊れる時って、こんな音だったっけ??


「ぐあっ!!」なんて、まるで人の呻き声……