ガヤガヤと賑やかな場所まで連れて来られた私。


「マリア、ちょっと此処で待てるかい?」


アル兄さんが、私の顔を覗き込んで話し掛けてくるから、それに返事をする事無く、こくりと頷く。

それを確認したアル兄さんは、にこりと微笑んで私の頭を撫でた。


「いい子」


そう言い残してパーティー会場の人混みの中に消えて行ったアル兄さんをボーっと見送っていた私。

周辺を見渡せば……
皆、着飾っていて大きなパーティーが開かれているんだと認識する。

自分の姿も、他の人達と同じ様にドレスアップしていて、パーティー会場の壇上ではマーク兄さんがスピーチをしているのが見えた。


「これはこれは、ウィンザー家のマリアさんではありませんか。」


掛けられた声に視線を向けると、知らない男が立っていた。


───誰?