Wonderful DaysⅠ



聞いた事の無い名前に首を傾げていれば


「……魁、無理はしないほうがいい」


葵さんは腕を組んで、ガラスのテーブルに置かれていた黒い陶器の灰皿に向けていた視線を魁さんに移す。
暫く沈黙した後に小さく溜め息を吐いた魁さんは


「───わかった…」


一言返事をすると、ドアから出て行ってしまった。

何だか緊迫した雰囲気に、どうしていいのかわからず立ち尽くしていた私。


「マリアちゃん、取り敢えず座って?」


「はい……」


葵さんに声を掛けられてソファーの端に腰を下ろすと、目の前に差し出された温かい紅茶。

顔を上げれば、そこにはさっきまでの険しい表情は消えて優しい表情に戻っていた葵さんと目が合った。


「どうぞ。飲むと体が温まるよ」


「ありがとうございます」


お礼を言って受け取ると、にこりと笑顔を見せて対面のソファーに腰を掛けた葵さんは小さく溜め息を吐いた。


「ごめんね? 今日は此処から動けそうもないんだ。」