バタンと閉まったトイレのドア……
───田中さーん!?
「かなり歩きますけど、この先にもう一つトイレあるんで……」
えっ? まだ我慢しなきゃダメなの?!
「急ぎで願いしますっ!」
摘み出されたトイレから、かなり歩いたその先に……
「あの、真正面のドアがトイレっす!」
田中さんが指差すドアへと駆け込んだ。
確かに遠いけど。
ちゃんと、普通のトイレがあるのなら最初から、こっちに案内して欲しかった。
さっきのタバコ臭い大きなトイレとは違って、此処のトイレは個室。
空気もクリーンだし、綺麗に掃除もされていた。
無事に用を足し終えて、手を洗う。
有難い事に此処の水道、お湯が出る!
悴んだ手を温めるように洗うと、感覚の無かった指先がジンジンとしてきた。


